最近読んだ本

『ペンギン鉄道なくしもの係』
『ペンギン鉄道なくしもの係リターンズ』
                                             名取佐和子

これは2冊続けて読んでこそ、と本好きの友人からの紹介があった通り、立て続けに読んで、続編の最後の最後で全ての伏線が回収されて小さな謎も解けて行く。

水族館で飼われているのではなく、何故か「海狭間駅」という臨海の工場勤務の人しか使わない駅の「遺失物保管所」で世話されているペンギン。このペンギン、一人で電車に乗り、都心の水族館に遊びに行ったり、勝手に散歩したりして、このペンギンが利用する鉄道はペンギン鉄道と呼ばれている。
初めて彼を目撃した人は驚いて目を疑うが、その存在を知っている人には自然に受け入れられている不思議な存在。人間の言葉を喋るわけでも、何か特別活躍するわけでもなく「居る」だけなのだが、なくしものをした人々が海狭間駅のなくしもの係とやり取りするうちに、実際になくしたものと向き合うことで、それぞれの心の中に抱えていた悩みや辛さに向き合い、失っていた大切なものを取り戻して前を向いて歩き出す…。新しく生きるために背中をそっと押される。そんなハートウォーミングな物語。
かなり重たい話もあるのだが、大人であろうと、子供であろうと、成功を収めた老人であろうと、外からはうかがい知れない屈託を抱えて生きていることを考えさせられる。ペンギンは何かするわけではないが、不思議と人々の人生のターニングポイントに目の前に現れていることに読了して気づく。不思議な共時性を感じさせる作品だった。

ちょうどいいしあわせを探して

日々、自分にちょうどいいしあわせを感じることや物、ちょっと楽しい、面白い体験を探して紹介します。

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